高圧粘度特性とは
流体力学で高圧粘度特性という特性があります。
どのような特性なのか簡単に説明すると、液体に高い圧力がかかると液体の粘度が高くなる現象です。
身近なもので言うとテレビ等の実験で、片栗粉を水に溶かして、その上を人が走るというものが一番わかりやすい例えかな。
何故液体の上を走ることが出来るのかというとまず、片栗粉の入った水を踏む事により、液体に高い圧力が掛かります。
高い圧力が掛かかることにより液体の粘度が高くなります。
粘度が高くということはドロドロ(固く)になるということなので、その上を走ることが出来るようになります。
高い圧力がかからなくなると、元の粘度に戻ります。
これが高圧粘度特性です。
高圧粘度特性による問題
片栗粉入りの水の上を走る等、特に問題のない愉快な液体の性質だと思われますが
実は機械部品では厄介な特性になったりします。
特に潤滑の分野でこの特性は良くない場合が多いです。
液体が固体化してしまうため、潤滑のメリットがなくなってしまいます。
潤滑とは
潤滑を簡単に説明すると、金属と金属の間に油を敷くことで、本来は金属と金属が接触してしまう所を金属と油の接触にすることをいいます。
潤滑のメリットは金属(固体)と金属(固体)接触を金属(固体)と油(液体)接触にすることで摩擦力を低減することができることですね。
そして潤滑状態は大きく分けると3種類あります。
①流体潤滑
摩擦部分に十分厚い油膜 ができ,2面が直接接触せずに,離れた状態で潤滑されること。
②境界潤滑
摩擦部分の2面間に十分な厚さの油膜が形成できなくなり,摩擦面が部分的に固体接触するようになる状態のこと。一般的に油の分子(5分子程度)で潤滑する。
③混合潤滑
流体潤滑と境界潤滑の間に位置する潤滑状態であり、高圧粘度特性はこの潤滑状態で起きやすい。
バラス(Barus)の式
そして高圧粘度特性はバラス(Barus)の式でよく表されます。
η = η0 * exp(αp)
このような式です。ここで、ηは圧力pの下での粘度,η0は大気圧下での粘度、αは粘度の圧力指数です。
式だけを見ると簡単に見えるかもしれませんが、数値計算で考えるとかなり面倒な式です。
その理由は
圧力が上がると粘度が上がる、粘度が上がると圧力が上がる…
無限ループが発生してしまいます。
さらに圧力乗分粘度が高くなるので、少しの圧力上昇で粘度がかなり上昇します。
本当に制御が難しい。
下の図は商用ソフトに外部ユーザーサブルーチンでバラスの式を導入した結果になっています。
この結果が出るのにかなり時間が掛かりました。(計算コストが高い)
後は単純にバラスの式をプログラムしただけでなく、工夫をして収束させてます。
そうしないと無理です。(計算できません)
まとめ
高圧粘度特性をプログラミングして理解したことは収束させるのに時間がかかる。
単純なプログラミングでは計算が発散する。
工夫をすれば何とか高圧粘度特性を導入できる。
です。
終わり
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