層流・乱流について
流体状態に層流、乱流があります。
この2つの流体状態について書いて行きたいと思います。
層流
層流とは流体が規則性を持って流れる状態のことを言います。
円管内にインクを流した時、インクは乱れることなく流れます。
乱流
乱流とは流体が不規則に流れる状態のことを言います。
円管内にインクを流した時、インクは複雑に混じり合い流れます。
流体が不規則に流れる、つまり流速を予測しずらくなるということです。
飛行機の翼周りで乱流が発生した状態が続くと、流体の動きが不規則であるため、急に揚力が失われる場合があります。
レイノルズ数
乱流、層流、この2つの状態があることは昔から分かっていましたが、これを区別するために、レイノルズさんが実験を行いました。
この実験により、流体力学で有名な式レイノルズ数が生まれました。
Re=ρUD/μ
という式になります。
ここでReはレイノルズ数、ρは流体密度、Uは平均流速、Dは管の直径、μは粘性係数になります。
レイノルズ数は無次元式なので無次元になるように単位調整して下さい。
Re<2300で層流?
流体力学を学んでいるとRe<2300で層流状態になる。
と書いてあることが多いです。
しかし、このRe<2300で層流という条件はあまり信用できません。
信用できない理由は以下のものがあります。
レイノルズさんが生きていた時代
レイノルズさんが実験を行ったのは1883年です。
この時代は馬車が通っていた時代です。
現代と実験条件が違い過ぎます。
さらに、レイノルズさんはこの実験結果を自ら絵を書いて表しています。(当時撮影機器は発達していなかっため。)
この状態で提案されたのがRe<2300で層流です。
層流、乱流の臨界点はまだ分ってない
2019年2月23日現在
層流、乱流の臨界点(臨界レイノルズ数)は理論的に十分に明らかになっていません。
実験条件で変わりますが、層流から乱流に遷移するレイノルズ数は約13000
乱流から層流に遷移するレイノルズ数は約2300であると言われています。
シミュレーションの場合の層流、乱流
シミュレーションの場合、さらに臨界レイノルズ数が曖昧になっています。
Re=100000で層流として計算しても出来てしまいます。
これは計算領域の一部は乱流だが、計算領域全体で見た場合、層流になる等が理由になります。
円管内 層流速度分布
層流速度分布は円管中央で最も速く、壁に近づくにつれて遅くなる、二次関数的速度分布になります。
実際にシミュレーションで速度分布を出してみました。
中央付近が一番速く、二次関数的速度分布になっていますね。
円管内 乱流の速度分布
流れが乱流になると、渦による運動量の移動が活発となる。
壁面から離れた場所では一様流に近くなり、壁面付近では境界層が形成されます。
こちらも層流と同様にシミュレーションで速度分布を出してみました。
層流とは違う速度分布になりました。
壁面から離れた場所では一様流に近くなっていますね。
まとめ
Re<2300で層流が信頼できないと書きましたが、流体力学の大学講義ではこの基準を使って問題が作られているので、素直に使ってください。
研究ではRe<2300で層流はあまり信用してはいけない基準かも知れません。
終わり